ん?でもちょっと待って?他の女とも切ったって……伊織さんは男なんじゃ。
「……聡ちゃん、伊織さんのことニューハーフの情報提供者って言ってたのに。……両方、関係を持てる人なの?」
「はあ? 誰がニューハーフの情報提供者? 誰が男ですって!?」
「伊織さん」
伊織さんはさっきまで涙ぐんでいたのに急に険しい顔をしてキレ始めた。
聡ちゃんは大きなため息をついて頭を抱えてる。
「もういいわ! あんたみたいなロリコンこっちから願い下げよ!」
立ち上がったと思ったらバチンと乾いた音が部屋に響いた。
伊織さんが、聡ちゃんの顔を思いっきり殴った。そしてこの部屋から逃げるように立ち去った。
「伊織さん!」
「追いかけんな。俺が行く」
「聡ちゃん……」
殴られた頬に手を当てて、聡ちゃんはあたしの前を横切った。


