「聡ちゃんに会いたいなら連絡すれば? 携帯番号知ってるんでしょ?」
「着拒されてるからわざわざここまで来てるんでしょ!?」
着拒……?何で?大切な情報提供者なんじゃないの?
連絡つかないなら訪ねるしかないけど……。だけど聡ちゃんが着拒している相手を家にあげてよかったかな?
考えても居座っている相手は追い出せない。見た目は女の子でも力は男だし。ベランダに干していた洗濯物を入れて、夕食の準備を始めた。
伊織さんは巻いた髪を手でくるくる回したり、化粧ポーチから口紅を取り出してメイクなおしをしていた。
本当に聡ちゃんが好きなんだ。充分、綺麗なのに何度も鏡を見てチェックしてる……
「伊織さんもご飯食べて行く? お魚ちょうど三枚あるし」
「いらないわよ! 魚臭くなるでしょ!」
カッチ――――ン
あんたの香水の匂いよりマシだわっ!!
聡ちゃんと落ち着いて話せるように、夕御飯を一緒に食べないか誘ったのに!もう知らない!!


