――学校帰り。涼しい風が木々を揺らして、あたしのポニーテールにした長い髪も、制服のスカートも同じ方向へとなびく。


すっかり過ごしやすい季節になったなぁ。




「あ、お兄さん、こんにちはー」


「よぅ、ラミカ。今日も親父はいねーのかよ?」


「3日は帰って来てないよ」



壁にはたくさんのひび割れ、小窓は割れて、段ボールで補修された築50年以上のオンボロアパート。ここがあたしの家。


玄関の前で立ち煙草をふかしているのは、借金の取り立てのお兄さん。金髪、切れ長の鋭い目、細身の体に黒いスーツ。


見た目は怖いけど、話してみたら年齢は二十歳だって。17歳のあたしと歳も近いし、いつもうちに来てくれるからすっかり仲良くなった。