「……お前ら何やってんだよ?」
電話をかけた相手側の携帯からはパトカーのサイレンが鳴り響いてる。
『ヘッド! 助けて下さい! サツに追い込まれてパクられそうなんすよ!』
「俺はもうヘッドじゃねー。フタテに別れて路地裏に入り込め。その後は恒(こう)のガレージに避難させてもらえ。俺も行く」
『了解っす!』
俺がついこの間まで所属していた暴走族のチーム。久しぶりに合流して走ろうと思ったのにサツもまけないなんて今のヘッドの蘭(らん)は大丈夫なのかよ……?
呆れながらも、バイクのマフラーをふかして目的地の恒の家に向かった。
「お前なぁーうちは避難所じゃないんだぞ? 子供も起きるから二度とここに誘導させんなよ」
「悪いな。聞けば恒んちの近くの国道を走ってるって言うからよ」
恒と俺はタメ。元々は俺と同じ暴走族のチームのナンバー2だったけど、出来婚で引退。今は車の整備士として働いている。


