生きるための本能ってやつ……?
そんなソウちゃんの姿を見ていると、自然とあたしの瞳から涙が溢れた……
「……ラミカちゃん、聡一は」
「エミ!」
エミさんが言いかけた言葉を、恒さんが止めた。そして顔を横に振った。
こんなやりとり……この一年、何度も見てきた。見ていてあたしは気づかないフリをしていたけど
あたしは、みんなに気をつかわせてしまっていた。
「分かってる……本当は……分かってるの……」
あたしも生きるための本能から、信じたくない現実を否定してきた。現実から目を背けてきた。
そうでもしないと、あたしは生きていけなかったから。
だけど、いつまでもこのままじゃいけないことも頭の隅で分かっていた。
「ちびソウちゃんに気づかされた……ありがとう」
きちんと向き合わなきゃ
ダメなんだ。
天国に行った聡ちゃんを見送ることもできなかったあたしは、お墓参りにさえ行ってない。
「今まで心配かけてごめんなさい。あたし……二十歳の誕生日がきたら、きちんと聡ちゃんに会いに行く」
本当だったら、聡ちゃんが迎えに来てくれるはずだったけど、あたしから会いに行くからね。
恒さんとエミさんは、泣き止むまでずっとあたしのそばにいてくれた。
二歳になった琉生くんから頭をよしよしと撫でられて……さらに涙が溢れた。


