あたしがあたしでないかのような錯覚に陥った。
お母さんが狂ったように泣き叫ぶあたしを、必死で抱き締める。
その姿を第三者のように、あたしは見つめていた。
何これ?
夢?
そうだよ。聡ちゃんが死ぬわけない。夢だよ。早く目を覚まさなくちゃ。
目覚めたら、悪夢から解放される。だからあたしは自分の体を殴った。何度も何度も何度も
それからの記憶はない。
次に目覚めた時、あたしは病院のベッドの上だった。
「ラミカ! よかった。三日も眠っていたのよ」
「お母さん……」
お母さんが泣きながらあたしの手を握って、ナースコールを押して医師を呼んだ。
「精神的ショックが大きかったんでしょう。もう少し入院して様子をみましょう」
「いえ、あたしは大丈夫です」
「ラミカ、無理しなくていいのよ」
「無理してないよ。大丈夫。聡ちゃんがあたしを迎えに来てくれた時、元気なあたしじゃなくちゃ心配するでしょ?」
認めたくない現実が、あたしを壊していく。壊れていくあたしに周りの人達はみんな優しかった。


