ため息をつきながら、自室に戻ると充電器を差し込んだ携帯がピカピカ光っていた。
恒からの着信。
「もしもし」
『御勤めご苦労様です』
「殺すぞ」
『ははっ、ジョーダン。今日釈放されたって杏さんから聞いたからさ。ラミカちゃんからの伝言もあるし、今から会わないか?』
ラミカからの伝言……会わないわけねぇだろ。恒と中学の時によく行っていたファミレスで待ち合わせした。
先に店に着いていた俺はドリンクバーを注文してウーロンを飲んでいると、恒が唖然とした顔で店に入ってきた。
「よう、久々。心配かけて悪かっ……」
「バカか! お前は! 帽子くらいかぶってこいよ!」
そう言われて、喫煙席のテーブルの上で恒から無理やりサングラスをかけさせられた。
「何でだよ?」
「お前、顔と名前が新聞に出たんだぞ。知らないのか?」
「知ってる。別に周りの目なんか気にならねぇよ。それにひどい事件だとは思っても、関係ない奴らは聞き流してニュースも見てる。主犯の顔くらいしか記憶されてないだろ」
「関係ない奴らはな。被害者家族はそうでもないから一応変装しろ」


