「痩せたな。飯が口に合わないか?」
「まずいな。ラミカの作る貧乏飯が食いたい」
「貧乏飯?」
「塩をふったお湯かけご飯とか」
「それはまずそうだ」
「これが結構うまいんだよ。お粥みたいな味で」
小麦粉から太くて短いうどんを作るし、ネギの根っこを水に浸して家庭菜園を始めたり……
呆れつつも、節約家のラミカを見て過ごした毎日は楽しかったな。
「彼女の話をしている時は幸せそうな顔をするんだな」
なんだか鮫島ジジイに俺の心の中を見透かされた気がして嫌だった。
ここから出ても、ラミカと会えないことをこいつも知っているはずだから。同情なんかされたくない。
「露骨に嫌な顔をするな。幸せな出来事を幸せそうに話すことは悪いことじゃない」
「別に……哀れに思われるのが嫌なだけだ」
「哀れんでなんかいない。どうしてそう思う? 一生会えないわけじゃない……と、これは独り言だ」
…………んだよ、こいつのこと嫌いだったのに
さりげなく励ましてんじゃねぇよ。
くそジジイ……


