1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】




――翌朝。記事が切り取られた穴だらけの新聞の朝刊がまわってきた。


きっと、人身売買事件の記事……



アニキ達や組がどうなったのか情報が欲しいのに。房の中では、何も知ることができない。



「接見禁止?」


「はい、今後差し入れ、面会等は一切行えません。接見できるのは弁護士のみです」



そう言われ、手渡された紙袋の中には着替えと洗面道具、タバコとバイクの雑誌数冊が入っていた。



「ご両親からです」


「……」



親父とお袋が……


本当に親不孝者だな。心から申し訳なく思った。



とりあえずジャージとパーカーに着替えた。服についている紐は全て取り外されていた。



「自殺防止……か」



やらなきゃいけないことをたくさん残してきてるのに自殺なんかするかよ。



「運動の時間です。って言っても皆さん、タバコを吸う時間にあてていますけどどうしますか?」


「ああ、俺も吸います」



担当刑事の鮫島は腹立つけど、他の警察官達は感じいいな。


ほとんど寝てない状況でタバコを口にくわえて火をつけた。くそ……接見禁止なんて外部との接触が一切とれない。ラミカのことも聞きたいのに。



大きくため息をつくと、隣に中年の男が腰かけてきた。