警察署に連行されると、小さな個室に通されて手錠を外された。
「ボディーチェックを行います。手を上げて下さい」
「何も持ってねぇよ」
「念のためです」
どうでもいいけど。ボディーチェックが終わると、取調室で調書を取られた。
担当刑事は親父くらいの年齢で、鋭い目つきで俺を見てきた。
「担当刑事の鮫島です。まずは出世から聞こうかな」
「……出世?」
「質問してるのはこっちなんだよ! お前は聞かれたことに正直に答えろ!」
腹立つな。クソジジイが。威嚇されても全然怖くねぇよ。
「平成○年12月25日生まれ、二十歳」
「両親の名前と家族構成は?」
「長谷部悟、百合子。姉貴の杏」
鮫島は俺の答えたことを、スラスラと書き留めていく。
ヤクザになったきっかけなどを聞かれ、質問は本題に入った。
「今回の事件の詳細を聞こうか」
「……事件になるようなことはしてねぇ」
「ふざけんな! お前は女を金で買っただろ? 他の組員からも証言はとれてるんだよ! 借金の肩代わりをしてやってるところをな!」
なんでそれでラミカを買ったことになるのか、全く分からねぇ。