「これからどうするんだ? 学校辞めて結婚するのか?」
結婚しちゃえば罪にはならない。聡ちゃんとずっと一緒にいられる。
だけど――……
「聡ちゃんが迎えに来てくれるのを待ちます。あたしが卒業することを望んでいたから……きっと来年の三月まで、聡ちゃんはあたしに会う意思はないと思います」
あたしから会いに行って、聡ちゃんがまた捕まっちゃうのは絶対に嫌だし。
「あと半年……ううん、あたしが二十歳になるまで会えないかもしれない」
たくさん助けてもらって、たくさん迷惑かけちゃったから……
会いたいけど、聡ちゃんの幸せを一番に考える。
「恒の番号だ。ラミカと連絡とりたいって言ってたから連絡してやれ」
そう言って、陸先生はあたしに一枚のメモ紙を手渡してきた。
「恒さんとも知り合いなんですか?」
「俺の顔を見て気づかないのはお前の彼氏くらいだよ。何度か会ってるのにな。初代ヘッドなんてただのOBぐらいにしか思ってないんだろ」
「よく分かんないけど……これ、ありがとうございます」
あたしは番号の書かれた紙を大切に握った。連絡をとりたいと思っていた人達との繋がりを、陸先生が繋いでくれた。
「陸先生はあたし達のこと、信じてくれますか?」
「……ああ。ここで話した時のお前達を見ただけで分かる。買った女のためにあそこまでしない」
一人でも信じてくれる大人がいる。あたしは少しだけ心が軽くなった。


