「大変だったな」
「……陸先生も知ってたんですね」
「当たり前だろ。この部屋で会ったんだから」
三者面談のあの日、陸先生は何かあった時は全力であたしと聡ちゃんを引き離すって言ってたっけ。
「……どうして未成年の女の子と成人した男の人は付き合っちゃいけないんですか?」
「青少年保護育成条令があるから。婚姻関係じゃない奴らがセックスしたら即逮捕、起訴は確実だな」
「あたし達は……体の関係なんてなかった」
「へぇ。プラトニックとは意外だな。だけど今回の件で分かっただろ? 周りは簡単には信じてくれない」
陸先生はタバコを取り出すと、ライターで火をつけた。聡ちゃんが吸ってたタバコと同じ銘柄。久しぶりの聡ちゃんの香りに涙が出てきた。
「うん……みんなそういう目で見てくる。いくら言っても信じてくれなかった」
体の関係がなかったことがそんなに信じがたいものならば、あたし達は普通じゃなかった。
聡ちゃんがどれだけあたしを大切にしてくれていたか痛感して……
会いたくて苦しくなる。
会いたくて、声が聞きたくて、触れたくて、また呆れた顔でバカって言ってほしいの――……


