あたしは翌日やって来た警察に聡ちゃんとの出会いから全て話した。
話したのに……
「仕返しが怖いから本当のことは話せないということはないですか? もしくは、こういう状態になった時には今のように話せと脅されて……」
「あたしは事実しか話してません。どうして聡ちゃんを悪者に仕立てあげようとするんですか? ヤクザだから? そんなのおかしい!」
あたしの証言を疑ってかかる警察にイライラして仕方なかった。
「ねぇ、ラミカさん。ストックホルム症候群ってご存知ですか?」
「知ってます。同じことを言われたことがあります。あたしはそんな病気じゃありません。そこまで疑うなら、あたしの体と精神状態を調べますか?」
そこまで強く言い切ると、女の警察官はメモ帳を閉じてため息をついた。
「確かにあなたは他の被害者女性とは違いますね」
そりゃそうでしょ。あたしは、きちんと愛されていたんだから。
「他の女性は、声が出なくなったり全身にヤケドを負った状態で保護されたんです。そういう犯罪に長谷部聡一は関与していたんです」
「違う! 聡ちゃんは借金の取り立てしかしてない! 人身売買のことは逮捕される前日に初めて知ったんです! きちんと調べろ!」


