聡ちゃんがいてくれたから、学校にも通えて
たくさんの優しい人達に出会えた。だから……
「聡ちゃんがダメって言ってもついていくもん」
背中に手を回すと、聡ちゃんは腰に手を当ててギュウと抱き上げて唇にキスをしてくれた。
何度も、何度もあたしを確かめるように角度を変えて……
「ごめんな。きつい選択させて……」
「謝らないでよ。あたしの気持ちを無視しないで……。聡ちゃんと離れるなんて考えられない」
外はいつの間にか雨が降っていて、ポツポツと窓を叩きつける。
「今夜、飛ぶ。荷物は最小限にして……ダチにも電話しておけ」
「いいの?」
「ラミカのダチなら、信用できる奴らだろ?」
うん……みんな、信用できる大切な人達。
あたしはひとつのバックに荷物をつめ終えると、携帯を取り出した。
携帯に登録されている聡ちゃん以外の人、全員に電話をかけた。留守電になる人には、ただありがとうって伝えた。
みんなびっくりしていたけど、あたしの選択を理解してくれた。
落ち着いたら必ず連絡することを約束して、お別れの電話を終えた。


