聡ちゃんはあたしから目をそらさずに、真っ直ぐに見つめてくる。あたしも絶対に目をそらさなかった。
「……中途半端で情けねぇ。どうせラミカを傷つけてしまうなら、もっとうまい嘘を言って突き放せたらよかったのに」
「聡ちゃ……」
「嘘でも嫌いだなんて言えない。本気で愛してるから」
――“愛してる”
この一言で、さっきまで真っ黒になっていたあたしの心はピンク色に変わっていく。
「じゃあ、何で……? やっぱり何か危ないことしちゃったの?」
「してない。してないけど」
「全部話して。あたし、きちんと受け止めるから」
聡ちゃんはゆっくりと、堂島さんの電話の内容を話してくれた。
「絶対にサツにパクられないって約束守れなくてごめんな。せめて、高校だけは卒業してくれ」
「やだよ……聡ちゃん、一緒に逃げよう」
「ダメだ。離婚した母親についていかなかったのは、今の学校を卒業したかったからなんだろ? それに、この街から離れたらダチとも会えなくなるんだぞ」
そう……か。
テルミや杏さん、恒さんに蘭さん達にも会えなくなるんだ。
だけど、それは……
「聡ちゃんがあの時、助けてくれなかったら、もうすでに会えなくなってたんだよ。あたしは聡ちゃんについていきたい」


