――帰りの車の中。ラミカは助手席で携帯をいじっていた。



「聡ちゃん、お酒飲まなかったんだね」


「飲む気が失せた。てか、誰にメールしてるんだよ」


「聡ちゃんのお母さん」



はあ?



「連絡先交換したのか?」


「うん。お手洗いに行った時に。聡ちゃんのこと、よろしくお願いしますって言われた。あたしのほうがお世話されてますって言ったら嬉しそうに笑ってたよ」



あんなに体裁を気にしていたお袋が……ラミカのことを認めた。本当に昔と変わったな。



「いつでも会いに来てねーだって。よかったね。親孝行できるよ」


「親孝行ねぇ」



一番の親孝行は俺がきちんとした職に就くことだろうな。


……ああ、そうか。


ラミカが俺の両親に会いたいと言ったのは、きっと和解してほしかったから。



自分の家族がバラバラだから余計にそう思ったんだろう。



赤信号で車が停車した時、ラミカの頭を自分の胸に押し付けた。



「聡ちゃん……?」


「親父さんに会いたいか?」


「……うん。あたしも親孝行したいから」



ラミカの親父も、探してやりたい。きちんと会わせてやりたい。