ずっと俯いて落ち込んでいるあたしを見て、聡ちゃんはため息をついた。
「ラミカ……男が一度言った言葉は撤回できねーんだよ」
「そんなのかっこつけすぎ」
「あのなー」
日もすっかり暮れて、あたしのアパートに着いた時は10時をまわっていた。
「着いたぞ」
「やだ。また会ってくれるって言うまで降りない」
「お前なー」
その時だった。聡ちゃんがあたしの頭を押さえつけて、あたしを隠すようにしてアパートの玄関を鋭い目で睨み付けた。
「聡ちゃん? どうしたの?」
「同業者だ。お前の親父、マジで厄介なところにも手をつけてんな」
へっ?またヤミ金!?
「こっちには気づいてねーけど……あのアパートにはもう帰れねーな」
「そ、そんなぁー」
ただでさえ、生活費もなくて困っているのに家まで失うわけ?