「ほら、例の長男……」
「何故ここに?」
「非行に走ったのは聞いていたけど、鉾田組に入ったって噂が……」
「長女は漫画家で成功なさってるのに」
「次期院長に戻すために更正させられたのかしら」
「まさか……この長谷川一族のパーティーでは、長男の話は禁句ですもの」
周りが俺達を遠目から、興味本意で好き勝手言ってやがる。聞こえるような陰口するなら、堂々と聞いてこいよ。
「ラミカ、帰るぞ」
「聡一」
帰ろうとした時、前から一人の女から声をかけられた。
「久しぶりね」
――お袋。会いたくねぇ一人に会ってしまって……俺を目を反らした。お袋は親父に比べたら、全くあの頃と変わっていない。
「聡ちゃんのお母さんって綺麗だよね。さっき挨拶させてもらったんだけど、口調も優しくてお嬢様って感じ」
「騙されるな。どけよ」
「待って。久しぶりなんだからお話しましょう。ラミカさん……だったかしら。杏の友達って聞いてたけど、聡一とも知り合いなの?」
「はい、一緒に暮らしてます!」
バ、バカ……


