1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】




「行くなって言いたいところだけど、姉貴に拉致られるのは目に見えてるからな。姉貴の友達として、行ってこい。俺は行かねぇ」


「……うん」



ラミカは何故か寂しそうに頷いた。招待状は見ないでぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。




『聡一、ラミカちゃん超イケメン達に囲まれてるよ。早く来ないとお持ち帰りされるかもね』



――夕方。姉貴から留守電が入っていた。俺を絶対にホテルに来させるようにあおってやがる。腹立つ。



ラミカはバカだけど、持ち帰りなんかされるかよ。……されないと思ってるけど、念のためラミカの携帯に電話をかけた。



『もしもし、聡ちゃんはまだお仕事?』


「ああ、そっちはどうだ?」


『スーツを着たお兄さん達からたくさん名刺もらったよ。わけ分かんない難しいお話するから、適当に笑って合わせてる』


〜〜っ!!



「バカか!? なに男に笑顔振り撒いてんだよ!?」


『え……だって、杏さんの友達として来てるんだから愛想よくしなきゃ悪いじゃん』



ダメだ!こいつバカすぎて男に下心があることに気づいてねぇ!



「もう帰れ! 姉貴は?」


『それが杏さんも、皆吉さんもさっきから姿が見えないの。それに聡ちゃんのお父さんにはまだ会えてないし……』