「ったく。相変わらずムカつく姉貴だぜ」


「あたしは好き! すごい有名人なのに一般人のあたしに気さくに話してくれたし」


「ゴマスリとかお世辞が大嫌いな奴だからな。ラミカのこと気に入ってたのは裏表がないからじゃねーか?」



裏表……確かにないかな。


「じゃ、お前のオンボロアパートに帰るか」


「うん!」



あーあ。今日はなんか疲れちゃった。お父さんは蒸発して、お母さんからは連絡なし。


今日からあたしはあのアパートで独り暮らしかぁ。



「聡ちゃん、とりあえず生活費稼ぐためにもバイト始めるから。返済のほうは遅くなるけど……待っててくれる?」


「しつけーよ。お前とはもう金輪際、会うことはねー」


「ええ!?」


「当たり前だろ? 回収すべき金は手に入ったんだからよ」



そ、そんなぁー


せっかくお兄ちゃんみたいに思える人に出会えたのに……


杏さんにもまた会いたいし


聡ちゃんと繋がりがなくなるなんて嫌だよ。