聡ちゃんはタバコを灰皿に押し潰すと、あたしのそばに寄ってきて片手で自分の胸に抱き寄せた。
「泣くな。お前が泣くと、どうしていいか分からなくなる」
「だって……好きなんだもん。大切な人だから心配なんだよ」
「じゃあ、約束する。俺は絶対に捕まらないし、危ないこともしない。そう遠くない未来、ヤクザの世界から抜けてラミカと結婚する」
「本当……?」
「ああ、絶対」
あたしの胸の中のトゲはまだ抜けていなかったけれど
今は、聡ちゃんの言葉を信じるしかない。
ううん、信じる。
「今日はたくさん寝たから、まだ眠くないだろ?」
「え?」
布団の上にそのまま押し倒されて、目を閉じる間もなく唇を塞がれた。
聡ちゃんの吸ってるタバコの香りと同じ味のするキス。唇が離れると、あたしは舌を出した。
「苦い〜……美味しくない」
「慣れろ。俺の味、覚えてろ」
キスがタバコの味って大人。だけど、聡ちゃんの香りだから嫌いじゃない。
いつまでも、舌をひっこめていたあたしの口の中では、クルクルと円を描くように舌を弄ばれて聡ちゃんにされるがまま……
また、声出しちゃいそう……
恥ずかしい……