「それにしてもキレすぎだよ。薬に指切りだなんて怖かったし!」


「本物のヤクザなんだから仕方ねぇよ。そのヤクザに消火器ぶっ放したお前が一番こえーよ」



そんなもんなのかな。ていうか、結局のところ堂島さんは聡ちゃんがヤクザの世界から抜けること、どう思ったんだろう?



「聡ちゃんはやっぱり……今すぐに辞めてくれないの?」


「いつかは辞める」


「だから、あたしの卒業までって……」


「ラミカ、俺はお前に言ったよな? 卒業するまでこの家の家事をしろって。それで借金はチャラだって」


「え?」


「お前が学校をやめるのも、このアパートからいなくなるのも契約違反だからな」



……ずるい。そんな言い方されたら何も言えなくなる。


聡ちゃんは優しいから、きっとあたしが何も言えなくなる言葉を考えていたんだ。



だけど、それじゃあ……苦しい。あたしの心が苦しいのに……



「……あたしのせいで聡ちゃんに何かあったら怖いよ……」



気づいたら涙が溢れていた。聡ちゃんを想う時に流れる涙はやっぱり切ない。



好きだから、苦しい……