堂島さんは粉を落としながら、あたしに近づいてきて二ッと笑った。
「ねーちゃんは敵にまわしたくねぇタイプだな。将来、マルボウだけにはなるなよ」
「マルボウ? 丸ボーロのこと?」
「ちげーよ! 暴力団を相手にする警察のことだよ!アニキ、本当に今日はすんません。明日またきちんと話をさせて下さい」
「おう、じゃあな」
そして、あたしと聡ちゃんとお茶出しのお兄さんの三人で部屋の掃除をした。
聡ちゃんには寝てろって言われたけど、あたしが散らかしたんだからあたしが片付けなくちゃね。ふらつく足でバタバタとモップがけをした。
お茶出しの俊さんは当番で今夜、この事務所に泊まっていたみたいで
こんな日に限って、災難だと何度も呟いていた。
ピカピカに部屋が綺麗に片付いた時には、空が明るくなっていた。
「帰るか」
「うん」
バイクの後ろに乗ると、あたしが寝て落ちてしまわないように聡ちゃんはお腹に回したあたしの手を着ていた上着できつく括りつけた。
「大丈夫だよ」
「目が大丈夫じゃねぇよ。家に着くまで我慢しろ。帰ったら好きなだけ寝ていいから」
「うん」
優しい優しい聡ちゃん。
大好き……


