「かわいがっていた聡ちゃんをどうして苦しめるの?」
「うるせぇ! 女には分からねぇルールがあるんだ! 口には気を付けろ!」
「あんたの声のほうがうるさい! 近所迷惑でしょ!?」
「ラミカ!」
聡ちゃんは必死にあたしを止めようとしていたけど、薬のせいで頭がボンヤリしていて全然恐怖はなかった。
「決めた。女に注射を打て」
「待って下さい。俺は飛んだりしません」
「そうだよ! 飛ぶ必要なんかないの。辞めても、この街に堂々といればいいんだよ。聡ちゃん、帰ろう」
「チッ……くそ女!」
堂島さんの拳が飛んできて、鈍い音が部屋に響いた。
「聡ちゃん!」
あたしをかばって、聡ちゃんが殴られた。口の中を切ったのか、血がポタポタと床に落ちる。
「堂島さんのバカ!! 暴力でねじ伏せる奴なんて大嫌い!!」
ふらつく足で、堂島さんのもとへ歩み寄るとグッと腕を掴まれた。


