「そう固くならずにお茶でも飲めよ」
「はい……いただきます」
お茶なんて飲んでる場合じゃないんだけどな。逃げたほうがいいよね。今この事務所にいるのは堂島さんとお茶を出してくれた男の人の二人だけ……
隙を見つけて、逃げて、聡ちゃんに連絡してどこか二人で……
って……あれ……?
視界がグニャリと歪む。ソファーの上に上半身が倒れて、天井が回って見える。気持ち悪い。
「なに……これ……」
「ただの睡眠薬だ。ちょっと量が多めだから明日まで残ると思うけどな」
睡眠薬……?そんなもんなくても寝れるのに……
そんなことを、ボンヤリと考えていると勢いよく、事務所の扉が開いた。
「聡一、早かったな」
汗だくの聡ちゃんはあたしの姿を見ると、体を抱き起こしてくれた。
「ラミカに何をしたんですか!?」
「安心しな。まだ何もしてねぇ。今は、な」
今はってことは……これから何かされるの?


