「別にいいよー。聡一から返してもらうから」


「そんなっ」


「最初からそのつもりで私のところに借りに来たんでしょ?」


「ああ、そうだ。俺が300万を借りるんだから俺が返す。ラミカは関係ねーよ」


「聡ちゃん……」



でも、でも……そんなのってやっぱり心苦しいよ!



「ぎゃはははは! 聡ちゃんだって! 女子高生に聡ちゃんって呼ばせてんのかよ?」


「う、うるせぇ! ラミカが勝手に呼んでるだけだ!」



あらら、姉弟喧嘩が始まっちゃったよ……。杏さんはお腹抱えて豪快に笑ってるし、楽しい人だなぁ。そんな光景を微笑ましく見ていると皆吉さんが札束をお盆にのせて持ってきた。



「杏様、300万円お持ちしました」


「サンキュー! ほれ、それ持ってとっとと帰りな! こっちは締切前なんだから!」


「おー帰るわ! ここは居心地がわりーぜ!」


「ラミカちゃん、また機会があれば会おうね!」


「はい! 杏さんも皆吉さんもありがとうございました!」



スタスタと先を歩く聡ちゃんを追って、何度も振り返ってお辞儀をした。