「すみません。迎えに来てもらっちゃって」
「気にするな。電話より直接会って聞きたい話だったから」
堂島さんは、アパートまでわざわざ迎えに来てくれた。
聡ちゃんはまだ帰って来ていない。きっと、バイクで走りに行ったんだろうな。
「ねーちゃんは未成年だからファミレスとかは無理だな。事務所でもいいか?」
「はい、どこでも」
一度、無理やり連れて行かれた事務所。夜は大人な街になっていて怖かった。
「聡一に助けられなければ、ねーちゃんも今頃この下の店で働いていたのにな」
「それ、違法なんですよね? 堂島さんは警察に捕まるの怖くないんですか?」
「貫禄がついていいじゃねぇか。組員からは尊敬されるぜ?」
は?警察に捕まったら貫禄?尊敬?バッカじゃないの!?
事務所に入ると、一人の男の人がいて深々と堂島さんに頭を下げた。
「客だ。お茶を出してくれ」
「はい」
茶色い革のソファーに腰かけて、あたしは口を開いた。


