ラミカが何て答えるのかドキドキして、俺は黙ったまま……
だけど目の前をラミカの長い髪がなびいて、視界には母親の胸の中に飛び込んでいく姿が映し出された。
……だよな……
ラミカの本当の家族は母親で……
俺にひき止める資格なんてねぇ。
「お母さん、ありがとう……その言葉だけで充分だよ」
「え?」
「好きな人と一緒にいたい気持ち、あたしも聡ちゃんと出会えて分かったの。だから拓海さんと別居するなんて言わないで?」
「ラミカ……」
ラミカは泣きながら、でも笑顔で母親に想いを告げた。
「拓也くんが立ち直るようにお母さんもサポートしてあげて。あたしは大丈夫。昨日、あたしを迎えに来てくれたたくさんの人達を見たら、すごく大切にしてもらってるの分かったでしょ?」
ラミカの言葉に母親は泣きながら何度も頷いた。
「偏見や差別をしない子に育ってくれて嬉しい反面、心配もあったけど。素敵な人達に恵まれてるのね」
「そうだよ。あたしの彼氏、きちんとまだ紹介してなかったよね。長谷部聡一さん、二十歳」