「お母さん! ヤクザでもあたしに手を出さない聡ちゃんと、無理やり体をロープで縛り上げてあたしの体を写メで撮る変態の弟、どっちと暮らしたほうが幸せだと思う!?」
「えっ……」
ラミカは取り上げた携帯を母親の体に押し付けた。
「何するんだよ! 返せよ!」
「うるさい! ナイフを人に向けて脅すなんて最低! 下着じゃなくて、水着だから見られても恥ずかしくないし!」
母親と父親は息子の携帯の中を見て、驚いた表情になった。
「拓也、お前何てことを……!」
「違う! 僕はしてない! お姉さんが彼氏のところに帰りたいから縛れって脅されたんだ!」
「はぁ!? バカじゃないの! あたしがそんなことするわけないでしょ!」
苦しい言い訳。誰がどう見てもどっちが嘘をついているのか分かるのに……
「……ラミカ……嘘よね? 拓也くんは、とてもいい子で……こんなことするなんて……信じられないわ」
――母親の言葉を聞いて、ラミカの大きな瞳から
ポロポロと大粒の涙が溢れた……


