赤い屋根の家に着くと、バイクのマフラー音で気づいたのか、中年の男が家から出てきた。
「君達、どうしてここが……!」
「ラミカを迎えに来た。ラミカを出せよ」
「帰って下さい! ラミカは私達と一緒に暮らすって言ってるんです。警察呼びますよ!」
今度は母親が出てきた。ここまでやって来ると思っていなかったのか、顔を真っ赤にして憤慨していた。
「ラミカから直に聞いたら帰るよ」
「……ラミカ、来なさい」
母親に促されて、パジャマ姿のラミカが玄関から出てきた。
「ほら、きちんと言いなさい」
「聡ちゃん……」
何で……そんなに泣きそうな顔してるんだよ?
迎えに来てほしいって言ったじゃねぇか。ハッキリと言えよ。
「お姉さん、近所迷惑になるから早く帰ってもらってよ。僕、警察呼んじゃうよ?」
ラミカの後ろには、ピッタリと中学生くらいの男がくっついていた。こいつが弟って名乗っていた奴か。
ラミカは俯き、唇を噛み締めると後ろにいる弟の手から携帯を取り上げた。


