『もしもし』
「ラミカ、俺だ。今から聞くことに“うん”か“ううん”で答えろ。分かったな?」
『……うん』
「無理やり母親に連れて行かれたのか?」
『うん』
「今いる場所はこのビーチから近いか?」
『うん』
手紙には再婚相手の名前も書いてある。地元のやつらに聞いて回れば住所は分かるはず。
「分かった。すぐに迎えに行くから。家から抜け出せそうか?」
『……ううん』
母親のガードが固いか。どうしたら……
「ラミカ、俺が……」
『ほらね。やっぱり、男と話してるよ。母さん、人を簡単に信じちゃダメだよ』
――は?男の声……
『僕、ラミカお姉さんの弟です。ほら、お姉さん、はっきり彼氏に言ってやりなよ』
弟……?連れ子か。
『聡ちゃん……あたし、お母さん達と暮らす。だから……もう……』
ラミカの震えた声を聞いて、グッと握りこぶしをつくった。泣いてる。
「無理やり言わされてるなら“うん”って言え」
『……うん』
「迎えに……来てほしいか?」
『うん……!』
そこで携帯は一方的に切られた。何かに怯えたような声……
脅されてるような……


