「もしもしー、あ、ラミカちゃんのお母さんの携帯ですか? 私、ラミカちゃんの親友のエミって言います」
出た、アニメ声。さっきまでの緊迫した雰囲気から一転、緊張感がなくなる。
「実はラミカちゃんの携帯、うちに遊びに来た時に忘れていって私が持ってるんですよ。家族のフォルダを開けたら、お母さんの番号が入ってたからかけさせてもらったんですけど、ラミカちゃんいますか?」
すげ。よくもそんな嘘がポンポンと……
「え? ヤクザ? ……なんのことですか? ラミカちゃんに彼氏? 私は聞いてませんよ。ラミカちゃんはあまりプライベートな話はしてくれないし」
疑われてるな。ラミカが電話に出てくれればこっちのもんなのに。
エミちゃんは携帯の下を手で押さえて、俺を小声で呼んだ。
「聡一、ラミカちゃんにかわるって。イエスかノーで答えられるような質問して」
「ああ」
ドキドキしながら、エミちゃんから携帯を受け取って耳にあてた。


