「ところで、ラミカは一体誰と来てるの?」
「彼氏と友達たくさん」
「ラミカに彼氏ができたの? 会わせて」
うーん。でも聡ちゃんは今、仲裁中だしな。
「あの集団の真ん中にいる人。もう少し待って」
あたしが指を差した方向を見て、お母さんも拓海さんも唖然としてしまった。
「あの集団って……不良じゃないの!」
「違うよ。友達は暴走族で、彼氏はヤクザだもん!」
…………………………。
「もっと悪いじゃない! 場所を変えるわよ! 家に来て話を聞かせなさい!」
「えっ……やだ、ちょっと」
聡ちゃんに言ってからじゃなくちゃ心配するじゃん!
「拓海さん! 無理やりでもいいからラミカを連れて行きましょう!」
「あ、ああ」
「いやああ! 離してっ……」
叫ぼうとしたあたしの口はお母さんの手で押さえつけられた。
脇の下に腕を入れられて拓海さんに体ごと引きずられる。聡ちゃんの姿がどんどん遠くなっていく。
あたしのかごバックだけが砂の上に落ちて
無理やり水着姿のまま、車に乗せられた。


