「俺ら女に困ってねぇから消えろ」
「えー? 超冷めてるし!」
「いや、マジでここから避難したほうがいいよ。てか、お願い!」
「避難? 誰か来るの?」
キッパリとした態度をとる聡ちゃんを後ろから見て、ホッとしたのも束の間……エミさんはビーサンを脱ぐと、ギャル二人に投げつけた。
「きゃあ! 何すんのよ!」
「うるせぇ。今すぐ失せな」
…………………………。
……あれが、エミさん……?
かわいいアニメ声は、別人のような低い声になった。あまりの変貌ぶりにあたしは唖然となった。
「エミ! お前、ビーサン投げつけることねぇだろ?」
「は? このメス豚達の味方するの。多額の生命保険かけて、この海に沈めてやろうか? 私は琉生と二人で生きていくから」
ひいぃぃぃいいい!!
怖い――!!!!
「ラミカ、あっちに行くぞ」
「そ、聡ちゃん」
このまま、ほっといてもいいの?ギャル二人はすでに退散していて、恒さんは琉生くんを抱っこして帰ろうとするエミさんを必死でひき止めていて……
――みんな、修羅場だ。


