そんな幸せな時間をぶっ壊す大量のバイクのマフラー音が後方から近づいてきた。
不快に感じて、睨み付けながら振り返ると蘭達だった。すると、俺達二人を囲むようにバイクは停車した。
「何、てめーガン飛ばしてんだよ? あ? ブラアンなめてんのか?」
「ブラアンだって! 黒あんって流行ってんのかな?」
ラミカのボケに蘭達は呆気にとられていると、ラミカの顔をジィーと見つめて急に態度が変わった。
「姐さんじゃないっすか! 俺達のこと覚えてますか?」
「え……ああ! 雨の日に傘を買ってくれたお兄さん達。あの時はありがとうございました!」
「お兄さんだなんて恐れ多いっす。蘭って呼んで下さい。それより……」
蘭はラミカから俺に目を向けると、また険しい表情でからんできやがった。
「聡一さんの女に手を出すなんて、お前死にてぇのか?」
「お前が死ぬか?」
「へ?」
俺の声でやっと気づいた蘭達はまぬけな顔で驚いていた。
くそっ……知り合いには見られたくなかったのに……
やっぱりからまれる風貌なんだよ。この格好は。