「くだらなくないよ。聡ちゃんはまだ本当になりたいものがないんだね。あたしと一緒だ」



笑顔で微笑むラミカを見て、やっぱりラミカらしい反応だと思って心が穏やかになれた。



「聡ちゃんがヤクザじゃなかったらあたし達、出会えてなかったんだよ。聡ちゃんが助けてくれなかったら、あたしは高校もきっと退学してた」


「……そうだな。そう考えたらこの道に入ったのも案外無駄じゃなかったな」



親へのあてつけという安易な理由が馬鹿らしく思えていた。自分の存在価値がどこにあるか分からず生きていたけど……



「あたしはヤクザでもお医者さんでも“聡ちゃんという人間”が好きだよ。だから好きなように生きていいんじゃない?」



ラミカのために俺はいるんだ。そう思わせてくれる。


かわいいことを言うからキスしてやりてぇけど我慢した。ポケットに入れていた手を出してラミカの手を取って強く繋いだ。



「お前は本当に服飾に進まねぇのか?」


「うん。就職する」


「遠慮するなよ? 学費なら俺が出してやるから」


「ありがとう」



幸せってこういう時間をいうんだな。ラミカと出会ってから色々な感情を知れた気がする。