「黒くしてもまたすぐ色が抜けて明るくなるけどいいの?」
「ああ、とりあえず明日黒ければいいから」
行きつけの個人でやっている小さな美容院で金髪だった髪を黒く染めてもらった。すっげー重く感じるし、なんか……
「似合わなくね?」
「そんなことないよ。今までが明るかったから違和感感じるだけ」
美容師のなおさんはアイスコーヒーを持って来てくれてプッと吹き出した。
「ていうかどういう風の吹き回し? 聡一くんが髪を黒にするなんて」
「彼女の保護者として明日、学校に行くことになったから」
「二十歳で保護者ねぇ……先生と喧嘩しちゃダメだよ」
「そこまでガキじゃねーし」
「私から見たら充分ガキだよ」
物怖じせずにバッサリと言うこの人は俺が中学の時から担当してもらってる。気の強い姉貴みたいな存在。
ま、血の繋がった本当の姉貴より常識人だからなおさんには何でも話せている。