「……一応言っとくけど、君も僕に名前教えてないんだからね。 お互い様だってこと、忘れないでよ?」 「じゃあ、私も教えるから」 「………分かった」 おにーさんは、私の耳元で、初めて名前を言ってくれた。 私は、やっと、『おにーさん』を知った。