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教室に入ると,クラスメイトの賑やかな声が
一斉に聞こえてきた。


《ーーちょっと聞いてよー!彼氏がさぁー…》
《ーまた,あんた喧嘩したのー!?……》


《ーーでさぁ……なんだってよぉ♪…》
《ーまぢかよ!……》



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全く…毎日,顔合わしてるのに,よくそんなに話すネタが切れないものだ…ある意味,関心してしまう。


私は,机に鞄をドサッと置いて,周りの状況を目だけで追って,椅子に着くと,頬杖を付いて,溜め息を吐いた。


「ーー舞華,おはよう♪」

突然,視界に入って来たのは,クラスメイトでもあり,私の良き理解者でもある,友人の佐倉美緋(サクラ,ミヒ)


この子は,とても人懐っこくて,誰からも愛されそうな素直な女の子だ。

小学校の時に,クラスで隣の席だったということもあってか,次第に仲良くなり,家も,さほど遠くない距離なので,次第にプライベートでも遊ぶことが,多々あった。


「美緋,おはよう♪」


「ねぇねぇ!私,新情報ゲットしちゃった♪」

嬉しそうに,ぴょんぴょんと兎みたいに跳ねる姿は,とても愛らしい。


「ーー新情報…??…また変な噂話でも…」

美緋は,何処から聞いてくるのかは不明だが,いつも情報を仕入れてきては,私に報告してくる癖があった。

私は,余り興味は無いんだけど,一生懸命に目をキラキラさせて話をしてくれる友人の姿を見てると,冷たくあしらうことなんて出来ないので,とりあえず話だけは聞いてあげてたりする……。


「ー違う!違う!…今日は凄いんだから!転校生が来るんだって…さっき先生が,職員室で話してるのを盗み聞きしちゃったー♪」

ー盗み聞きって……あんた(苦笑)


私は,わざとらしく深々と溜め息を吐いた後に,目を細めて,美緋を見つめた。


「ー美緋…盗み聞きは良くないよ!」


ーービシッ!!

美緋の額に,デコピン攻撃を,1発かましてかった。

「ーいったぁ〜…うぅ酷いよ,舞華」

額をさすりながら,唇を尖らす。


「今回は,あんたが悪いんだからね?」

人差し指を,美緋に向けると,何も言わなくなり,しゅんとしていた。