ある日の事、雪が生徒たちへのプリントを持って運んでいるときだった。

前が見えづらくなるほど大量のプリントを持っていた。崩さないようにそっと、そっと歩いていた。

しかし、誰かとぶつかってしまう。

…:「あら・・・。ごめんなさい。」

雪:「もぅ~・・・。拾うの手伝ってくれる?」

…:「そうね。あたしのせいだもんね。」

雪:「えへへ。ありがとっ。」

…:「あなたは・・・。雪?」

雪:「そうだけれど・・・。」

…:「そう・・・。普段誰とも話さないから目立ってるわよ。」

雪:「やっぱりかぁ・・・。」

…:「えぇ。ヘンな噂(うわさ)はないけれど、気をつけたほうがいいわよ。」

雪:「うん・・・。」

…:「ふふ。素直ね。可愛い・・・。」

雪:「え?」

…:「さ、これで全部ね。また、会いましょう?」

雪:「う、うん。」

ぶつかってしまった少女は行ってしまった。

後姿が美しい。綺麗(きれい)な長い髪に高い声。

雪は彼女の事が気になってしまった。

同じクラスだったのかもしれない。話し口調(くちょう)がそれっぽかった気がする。そんなことを考えていた。