雪、という少女がいた。

中学生だった。

英語と国語が得意で、高校生になったならば、そういう勉強がしたいと思っていた。

そして、中学校生活でもそれに見合っていて孤独だった。

根は明るい彼女だったが、中学校生活ではなじめない事が多すぎた。それがいけなかったのかもしれない。


自分から慣れようとはしてみた。

しかし、周囲がまるで拒絶するかのように思っていたこととは違う反応を見せるのだった。

それで、もう諦めてしまったのだ。

自分は、孤独に生きるしかない。

高校では違う世界が見えるはず。

そう信じて、最後の一年を暮らそうと思っていたのだった。

退屈そうに眺(なが)める教室の中。

いろいろな話題が飛び交っている。

自分だったら、あぁ言うのに。自分だったらあのタイミングで笑うのに。そんなことを考えていた。

しかし、全てが希望でしかないこの世界で、自分の「希望」が満たされる事はなかった。


このまま物語を終わらせる事もできる。

彼女になんら希望を持たせず、普段どおりの生活を遅らせることも、充実した高校生活を描く事だってできる。

しかし、事件は中学校生活の中で起こるのだった。