こんないいお天気の日には、ついつい思い出してしまうのです。 「ままぁ、おはなーっ」 先を走る可愛い娘が川沿い草原に立ち止まってこちらを振り返る。 「せがたかいねぇ」 「そうだねぇ。このお花、薺(なずな)って言うのよ」 「えっ、ナズとおなじおなまえ!」 「そう。可愛いでしょ」 「かわいいねぇ」 無邪気に笑う娘とそう変わらない長身の薺は、春風と楽しそうに踊っていて。 ついつい、思い出してしまうのです。