その悲痛な叫びは助けを求めるようだった。 次第に患者は睡眠を拒絶する様になっていた。 眠ると夢を見る。 だから夢を見まいと。 俺は夢で殺される事は有るかもしれないが、現実ではありえないと頑に思っていた。 眠らないと余計にストレスが溜まるから、安静にして寝ろと患者に言った。 患者は夏に多かった身近な死のせいで精神的にやられている、そうとしか思えなかった。 精神科医では無い俺は素人な答えを患者に言うしか無かった。