向かい合う俺らの間にはなんにもない、でも空っぽでもない。 つまり真っすぐな琴未さんの視線とか、俺が落ち着かないときの癖である瞬きを余分にすることとか、そういうのはちゃんとある。 今、お嬢様と2人ぼっち。 「…1番でかい理由は、一人暮らしを始めた日が雨だったから。」 俺から視線をそらし、そう。とだけ琴未さんは返事した。