はい、待ってました運動会!
やるからには全力でやってやる。
そして、勝ってやる。
負けず嫌いのあたし、ばんざい。
ふいに彩が大声をだした。


「あっ、西島走るよ!」


おーまじだー!
いちについて、よーい・・・って、
ちょ、誰かかぶってて見えなーい!
誰ですか?邪魔です。
あれ、楓君ですね。邪魔です。
わ、うそ、走り終わっちゃった?!


「あーもう最悪、楓のせいで見えなかった」

くるりって振り返って。
彩に言ったつもりなのに。

「あ?」

聞こえたのは彩の声じゃない。

「なんで?!さっきまであっちに・・・」

目を逸らして頭をかいている楓。
足速すぎるでしょ。瞬間移動でしょ。

そしてまた何事もなかったかのように
走り去っていく楓。
ああーもう、なんなの・・・。







結局、1位どころか最下位だった3組。

「まーいっかー!」
「は?!莉々、切り替え早っ!」
「えー?」
「絶対勝つって言ってたくせに!」
「あー言ったっけね、確か」

もういっそ勝ち負けなんてどうでもいい。
だってやっとこの時がきたの!
圭人とTシャツ交換できる時が!!!
あたしの心は躍っていた。