翼は足の重い戒を無理矢理に引っ張り、筒井の後ろを追いかける。

 案内された部屋に入ると、想像よりも豪華な部屋だった。

「わお」

 口笛を鳴らし、部屋を見回しながら戒を引きずるように扉をくぐる。

「!」

 目の前の椅子を見つけ、戒をそこまで引っ張り手錠を片方だけ外した。

「翼」

「黙ってて」

 困惑している戒にぴしゃりと言い捨て、強引に座らせる。

 そして、戒の腕を椅子の背もたれに回して再び手錠をかけた。

「これでやっと真仁から離れられた」

 翼はニコリと可愛い笑顔を戒に降ろす。

「あとで呼ぶ」

 筒井はそれを眺めてそれだけ発すると扉を閉めた。