【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)

鏡で歯に海苔が付いてないかを確認し、スタジオに着いたら、出待ちのファンの人の間をぬって、中へと入る。

“本当に子持ちだ!”なんて言われたけど、スルーして来た。

楽屋で衣装チェンジを済まし、全身鏡を見る。

今日は【セクシーな上司と部下】というコンセプトらしく、豹柄のキャミソールに、スカートは膝上20センチで、左側にスリットが入ってる。

黒いジャケットにもスカートにも、ラメが入ってる。

黒縁の眼鏡まで用意されていて、何とも気合いが入ってる感じ…。

メイクを済ませ、ヒールの高いオープントゥパンプスを履き、私は零士と楽屋から出る。