【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)




―――翌日の早朝、まだ眠る零士を好子さんに任せ、タクシーで市内のスタジオへ。

白い幕しかない、椅子すらないセットに通された。

今日は黒のTシャツに、赤のラインが入った、膝丈のプリーツスカートにパンプスとシンプルな衣装。

斜め上からカメラを向けられ、私は笑うというより、口元を緩めただけの表情をしながら、軽くポーズを決めた。

5枚ずつ撮影し、その中で一番に良いモノを選び、また撮影し、また選びを繰り返し、満場一致となる写真を選び出した。

この雑誌で特集される、聖さんの新ドラマに合わせて、聴診器を持った写真。

新ドラマは、医療現場を題材にした、ヒューマンドラマらしい。