実は、落とし物をしまして、傷心中なのです。

ク「落とし物?……だから、泣いていたのか」(なら、よほど大切なものだろうな)

シクシク。

ク「なあ、良かったら俺も一緒に探すけど。何を落としたんだ」

ストラップです。
留め具の部分が外れていたので、道に落としたのでしょう。

ク「ストラップぐらいで泣くなよ」

う、ううっ。

ク「!」(な、泣くほどか!そ、そうだよな、周りから見たら大したことなくても、安物でさえも、思い出とか色々詰まっていれば。そういや、こいつ、祖母の形見とか言う貝殻のストラップしていたな。もうしかして、それが)

ク「わ、悪かった。俺も探す!任せておけ!」

いえ、道に落ちたのならば探しようがない。諦めるしかないのです。なので、クロスにはーーここに入ってきたクロスには、問答無用で。

ク「へ?」

傷心した私めの癒やし要員になってもらいます!(抱きつきっ)

ク「入るな危険ってこのことかよ!」

抱き枕にしてやる、たれたれしてやる、トランプ後の枕投げとかしてやる!

ク「するなするなするなー!」

シクシク。

ク「っっ!」(いや、でも、こんなにも傷心してんなら見過ごす訳には、あーもー、どうすればっ)

ク「きっと見つかるから。大切な形見なんだろ」

は?形見?

ク「……。形見じゃないのか?貝殻の」

ああ、あれは無くしませんよ。外れないように頑丈な留め具にしていますから。

ク「じゃあ、何を」

好きなゲームキャラのストラップです。
も、もう、無くなったの気付いてから涙が止まらなくて!

こ、今度は三つ買う!こんな思い、もう二度としとうない!

ク「力づくで泣き止ましてやる!歯ぁ、食いしばれえぇっ!」