地図はタイムカプセルを埋めた時、四人で場所を確認して作ったものだ。

誰かが覚え書き程度に残しておいたものならともかく、全員が間違えたということは考えにくい。

と、一緒に地図を見ていた万里花があることに気づいた。

「あれ?これ、ところどころ描き直してある」

『え?』

残る3人の声がハモる。

ただし、その声は微妙にトーンが違う。

俊は純粋に驚いただけだが、あとの二人は声に険がある。

(余計なことに気づくな!)


とでも言いたげだ。

俊は食事もそこそこに、地図をしげしげと見る。

「なんか、この辺擦った跡があるような…」

「俊、とりあえず食べてからにしようよ」

「そうそう、無理はよくないし」

佐知と玲の言葉に全く耳をかさず、地図を日に透かしてみたりしている。

「ねえ、これ丸印を消した跡じゃない?」

万里花が横から地図の一転を指す。

確かに、そこには薄く丸の痕跡らしきものが見てとれる。

「よし、じゃあ次はここを掘ってみるか」

一度行動すると決めたら止まらない俊は、早々に立ち上がると発掘に向かう。

「せっかちなとこ、全然変わらないんだから…」

万里花が少し遅れて続く。

「しょうがないな…」

「あれは見られたくないし…」

佐知と玲も、互いに聞こえない独り言を呟き、慌てて二人を追う。

向かった場所は、掘り始めた地点から大きく外れていた。

「こんな場所に埋めた覚えないけど…」

「何年も前の記憶がアテになるか。とにかく掘ってみよう」

俊がやや固い土を掘り始めると、ほどなく出遅れた二人もそこに加わる。